「2001年アルバム15撰」 (12/29)
2001
T0P/KINKYO / BACKNUMBERS /


2001年のアルバム15枚、選んでみました。

年々、新譜を追いかけることから無意識に遠ざかってきているような気がしましたが
そのせいもあってか今年の後半はかなり意識的にいろいろ聴きました。

自分では「今年もあんまり聴けなかったなあ」と思ったわりには、
これを書くべく床の上に2001年産のCDをばらまくと結構な数に。

その中から15枚、毎度のことで往生際悪く次点も1枚ピックアップしました。
今年は洋楽がちょっと少ないです。

■1

満ち汐のロマンス EGO-WRAPPIN'
■2 rockin' the suburbs ben folds
■3 modjo modjo
■4 TEAM ROCK くるり
■5 Save Our Ship 浜田省吾
■6 インソムニア 鬼束ちひろ
■7 GET READY NEW ORDER
■8 THE GREATEST HITS LOVE PSYCHEDELICO
■9 ドラマチック クラムボン
■10 感受性応答セヨ Eastern Youth
■11 Outernet globe
■12 DISCOVERY daft punk
■13 almost blues ワイヨリカ
■14 さくらの唄 GOING STEADY
■15 first class 大江千里
次点 INVINCIBLE MICHAEL JACKSON

 

■1

満ち汐のロマンス EGO-WRAPPIN'

「色彩のブルース」が最近再発(?)されてチャート上でもスマッシュ・ヒットになっているEGO-WRAPPIN'。時に昂らせ、時に深海に沈み込ませてくれる音、声。彼等が奏でる音そのものももちろん魅力的だが、このアルバムはそれだけじゃなく完成度も凄いし、通 して(曲順通り)聴かせる一本通ったコンセプトみたいなものを強く感じられる。検索性に優れたCDというメディアが普及して以後、こうしたアルバム一枚を通 した演出というのはないがしろにされがちな昨今、印象という面でも、また飽きがこないという面 でも非常にクオリティの高い1枚だ。

■2 rockin' the suburbs ben folds

僕は今でこそギターの方をたくさん可愛がってしまっていて、ピアノを自分で奏でるということでいえばだいぶ遠ざかってしまっているけれど、だからこそピアノが全面 に出たサウンドというだけでつい聴き耳をたててしまう。喜んで聴いてしまったりする。このCDをセットしてすぐに、澄んだ、賢そうなピアノのイントロとハンドクラッピンが聴こえてくるとすごく嬉しくなってしまった。だけどこ難しさなど微塵も見せずにPOPさをたたえてこのアルバムは進んでいく。特に邦楽ではピアノをフィーチャーしたアーティストってほとんどいなくなってしまって寂しかったのだけど、その寂しさを癒してくれるとともに、ピアノだからできるよさ、肩の力を抜きながらしかし知的なPOPを感じることができた。勝手な思い込みかもしれないけど、やっぱり彼のようなヴォーカルは後ろでピアノを鳴らすためにあるような気がする。ベンフォールズに多謝!

■3 modjo modjo

フランスはパリ出身の2人組ハウスユニットmodjo。実は片割れのROMAIN TRANCHARTはかつてはダフト・パンクのギィ・マニュエルの弟とともに"セブン・トラックス"というバンドにいたこともあった。見ようによってはダフト・パンクに似ておりますなですまされちゃいそうだが、こんなに上位 に来た理由はカンタン。ハウスはひたすらキャッチーで俗っぽく、どこか懐かしいのが好きだからだ。特にM3の大ヒット・チューン「LADY」を聴けばそのへんは分かってもらえるはず。イントロから「レイディー〜」とヴォーカルが入る瞬間が懐かしい感じ切ない感じはタマンナイ。俗っぽさでいったらdaft punkよりもずっと上。

■4 TEAM ROCK くるり

くるりのセンチメンタリズムはスピッツに通じるものがある。通じるものがあるけれども、後発のくるりの方がどこかオトナな気がする。センチメンタリズムを演じていることに対する余裕が感じられるのだ。だから、歌詞やサウンドの隙間から「隠したナイフ」のような意味深かつステロタイプな象徴がちらつくことはない。それがセンチでありながらすっきり聴ける秘密なのかもしれない。押し付けがましくないのだ。かなり酔って聴いていても、頭の細胞に反抗するものはなにもない。するっといく。(3/14付おりおりのうた)

その上に、やっぱり飽きなかった。今でも高速を走っていると「ワンダーフォーゲル」を聴きたくなり、ふと気が付くと「カレーの歌」を口ずさみ、「ばらの花」で勝手に切なくなっている。

■5 Save Our Ship 浜田省吾

5年前の前作「青空の扉」は、極めて浜田省吾的なテイストを煮詰め煮詰め創った、ある意味内省的な作品とも言えた。それは僕も好きなアルバムなのだが、しかしそれは「浜田省吾的」が好きな僕だから好きなのであって、外からのリスナーに大しては必ずしも敷居が低くはないものであった。おそらく、長年のキャリアを持つことのウィークポイントだと思うが、25年間経った後、まとまった数の新しいリスナーを振り向かせる事は非常に難しく、いかにこのアルバムの出来が良いにしても、セールス的には今までのアルバムとそう変わったものは残すことができないかも知れない。しかし、25年のキャリアの上で、このようなアルバムを出して来れることにまた、大きな意味もあるのである。 (10/22付おりおりのうた)

やっぱりこのなかでは「to be kissin' you」が一番好きだ。アコースティックギターにエレキギターのかぶさるサウンドは、ギター弾きならついコピーしたくなる。キャッチーででも一筋縄で行かない重さ。その重さに浜田省吾の25年をみる。次は何年後か分からないがこれで次まで待てる。次まで「Save our ship」で待てる。

■6 インソムニア 鬼束ちひろ

楽曲はさておき、この人の声が好きだ。白鳥英美子系というかおっとりとしながら輪郭がしっかりある声。その中には癒しばっかりじゃなく立ち上がるための力さえも感じさせてくれる。そしてその歌唱も流れるように、メロディーが不自然さを排した一本の線に見えてくるところがいい。収録されている楽曲もメロディアスなものやスケールの大きなものを織りまぜた質の高いものが多い。車に積むにはちょっと向かないけど、ふと部屋で聴きたくなるアルバム。

■7 GET READY NEW ORDER

帰ってきたNEW ORDER。なんでも昔っから彼等が好きな人々にとっては涙が溢れんばかりの出来なんだそうだが、僕はあいにく昔から聴いていたわけではないのでそういう部分は実感できなかったけど。でも新参者が聴いても良いアルバムだった。バックに流れ続ける8ビートと頼りなげだがどこか不思議なギター、ベース。そこにのっかる弱々しく溶けてしまいそうなヴォーカル。特にM2の「60 miles an hour」とM3の「Turn my way」が良い。昔のも聴いてみたい。

■8 THE GREATEST HITS LOVE PSYCHEDELICO

このアルバムの魅力はまた、そうした英語と日本語の境界をぼかし耳触りの良さを追求していながら、決して「洋楽のアルバムを聴いている」という錯覚を起こさせないことである。メロディーラインやコード進行は、ギターを抱いてこのアルバムと向き合ってみると実に心当たりのあるものばかりであり、そこには微かな懐かしさすら感じさせるものである。特にM3の「Last Smile」なんかにそんなものを強く感じる。邦楽としてのアイデンティティは上っ面だけで聴くと薄そうだが、そんなことはない。実際、このアルバムがどんな年齢層に受けているか分からないが、今現在買った層がいわゆるヴォリュームゾーンのティーンエイジャーたちであるならば、もう少し上のレンジの人たち(30代前半くらいまで)に受け入れられる余地も十分にあると思う。 (1/26付おりおりのうた)

アルバムとしてのインパクトは、邦楽では一番強かった。なによりギターを弾いてみるとみんな簡単なコード進行でできているのがすごい。良い曲はある程度の単純さが不可欠なのだと改めて感じさせられる。そしてそれがブレイクの大きな理由の一つでもあろう。ただカラオケで唄うのは結構難しいぞ。

■9 ドラマチック クラムボン

M2の「ジョージ」にヤラれました。「愛知ってる?」て歌詞読んだら何もいえませんわ。ハイ。アレンジも僕の好きなツボばかり押してくれるかなりワガママな感じに仕上がっています。この曲、このアルバムについてはのちにちゃんと何か書こうと思ってますので多くを語ることはネタもれですので控えておきますが、「ドラマチック」一枚通 して非常にイイです。

■10 感受性応答セヨ Eastern Youth

シャウトというのはヴォーカル吉野の、もっというとイースタンユースの大きなキャラクターであり、存在感ではあるけれども、ありがちな全面 シャウトのノイジイさとは対極だ。メリハリや音楽性に裏打ちされたアレンジメントがあってこそ、シャウトも生きてくる。吉野が叫ぶ箇所は、確かに歌詞カードを見ずして歌詞は聞き取れないかも知れない。しかし様々な要素によって引き立てられたシャウトは、言葉を媒介とせずに伝えたいことを直に伝えてくる、そんな気がする。パワーのつまった良いアルバムだ。 (12/21付おりおりのうた)

もう一つ、やっぱりこの人たちって「メロディ」っていうより「節回し」って感じがするんだよなあ。メロディーが良い意味で洗練されていない。エレカシとかよりもずっとそのへんが強く出ているような気がする。ヴォーカルも「節」ならギターのリフも「節」。そんな感じ。

■11 Outernet globe

Keikoの声は年々僕が勝手に好きになっているんだけど、このアルバムだとそれに加えてM5「like a prayer」M9の「楽園の嘘」M11の「on the way to you」と僕にとって懐かしい小室哲哉がプンプン感じられる曲が続けてくるのでついつい入り込んで聴いてしまった。コンポーザーとヴォーカルの相性の良さをいまでもglobeは保ち続けている。それを保ってこれだけ長くやれるっていうのはやっぱりすごいことである。ひっそりとでも良い、また来年も。

■12 DISCOVERY daft punk

アルバムを通していくうちに、その力が持ち切れていないような気がしてくるのも事実である。通 して聴いてくると、一旦夢から覚めてしまうような。一曲づつでは良いのだが、どうも粒が揃っていないというか、だからこそ粗かったり安直であったりするところが目立ってしまうのかもしれない。曲順の問題かもしれないが、後半になると前半の勢いが嘘のようにも思えてしまう。この喩えが広く行われているのか知らないが、このへんが「フランスのケミカルブラザーズ」等と呼称されてしまう所以かもしれない。世界が広がったという意味ではこのディスク、買いであったが、可もなく不可もなくといったところか。(3/19付おりおりのうた)

キャッチーさではmodjoの方がずっと上。でも売れたのは圧倒的にこっちです。上のように偉そうなことを書いてますが、なんだかかんだ言ってけっこう一年通 してコンスタントに聴いていました。ランダムでくちゃくちゃに曲順をまわして夜の首都高を走るには最適です。

■13 almost blues ワイヨリカ

M2の「red song」のギターのカッティングなど、とにかく全体を通して楽器の音が立っているのがいい。きっとこれはアレンジとかミュージシャンのテクニックの問題ではなくて、レコーディングの味付けの方だと思うけど、楽器の音好きの僕にはとても気持ちいい。ヴォーカルも曲によって表情が変わって、飽きのこないアルバムである。M8「honey」M10の「cycle」なんかは音的にも唄的にも秀逸。後者の間奏で各パートが順番にフィーチャーされるところなどはおっと思ってしまう。

■14 さくらの唄 GOING STEADY

今売れてる唄って洗練され過ぎてるよなと、GOING STEADYを聴いたら思った。「青き初期衝動」っていうキーワードもそうだけど、それにしてもこれは青すぎるぞ。さーっと1枚聴いた時にはこういうブルーハーツ的なマーケットっていつの世もあるものなんだろうなとしれっと思ったのだが、しかしそれ以上にこのアルバムは青すぎるし粗すぎる。それとも粗すぎる青すぎると感じるのは僕が年令を重ねたからなのだろうか。「青き初期衝動」のまっただ中にいる世代の人たちはこの粗さをリアルタイムで感じることができるのだろうなと思って少し、いやだいぶうらやましくなった。僕みたいな、きっと彼等を聴いているコアな人たちよりも10才も上の人が聴くと、なんだかもう絶対に取り戻せない時の流れを感じたりして、せつない。言葉の選び方にはセンスを感じる。「衝動」がこの先どう変わっていくのか、愉しみだ。

■15 first class 大江千里

前作の「solitude」にくらべてちょっと「陽」のエネルギーが増えてきた今年の大江千里。すべての曲において「詞」が勝ち過ぎているのがちょっと気になるが、しかし今回も通 して聴けるいいアルバムに仕上がった。アレンジャー大江千里の技量も、着実にあがっているのがM3の「赤目のラビット」などで感じられる。シンガーソングライターからアレンジもこなす「ミュージシャン」への変化は少しづつだけど着実である。そんな中シングルにもなっている「奇跡」はそのなかでも往年の大江千里メロディ。喉は大切に。



ぶんせきは
KENTARO